Basser誌で連載している米国トーナメントを取材している方のクランクベイトに関する連載を単行本化した「秘密のクランクベイト」という本があります。正直この手の連載を単行本化した本にしては高いのですが、加筆などされているためクランクベイト好きとしては買わずには済まされません。昨シーズン初めのことですが買って読みました。
私はBasser誌を毎月無条件に買っているのですが、この連載を欠かさず読むという感じではなく、興味がある内容であれば読むといった感じでした。しかし単行本を読んでみるとめちゃくちゃ良いことに気づきました。こんなに実のある内容だったかなあと思ってしまいます。この本は米国のトーナメントを取材している著者が米国プロのクランクベイトの使い方やシークレットなど実際に取材で同船し見聞きした内容がベースになっているため、日本のメディア主体の考え方ではなくクランクベイトの本質が捉えられています。ハードベイト好きやハードベイトをこれから使いこなそうという方には是非お勧めです。 私はクランク好きのため発売されるクランクのうち気になるものは全部使ってやろうという勢いで使っていますが、昨今アメ物ブームで雨後の筍(たけのこ)のごとく入ってきていますので、とても買いきれないということと、それほど釣りに行けていないということもあり、あまり新規に手を広げていませんでした。しかしこの本をきっかけに気になるクランクをいくつか使ってみましたので紹介したいと思います。インプレに書いても良かったのですが、インプレするほどのこともないものも結構ありましたので、まとめてコラムとしました。 まずリッククランとのコラボレートで有名なサンダーシャッドです。2003年6月号のBasser誌に今江プロのシークレットとしても一部モデルが取り上げられました。私は103,106,112,306、155の5機種を使ってみました。 全てバルサ製のノンラトルでバグリーに風貌が似ているのでバグリー好きとしては惹かれるものがあり、ちょっと高かったんですが5機種も使ってみました。 まず103,106についてはスクエアリップモデルですが、動きがめちゃくちゃタイトなシリフリで正直、何がいいのか良く分からない状態です。この動きでしたらファットラップで十分です。もう使うことはないでしょう。 次に112なのですが、これはディープダイバーです。動きが少しぎこちない感じでそれがよく言うとイレギュラーでよいのかもしれません。でも私の好きな感じの動き方ではありません。 次に306ですがこれがめちゃくちゃいいです。ラウンドリップの極小ダイビングリップがついたフラットサイドクランクで、ローリングがすごいです。動きはめちゃくちゃいいのですが、リップがもろすぎるというウィークポイントもあります。ちょっとぶつけるともげてしまいますので注意が必要です。ちなみにバグリーとは比べ物にならないくらいもろいです。私はあっさり数投で壊しました。 次に155ですが、これが今江プロ絶賛のクランクらしいです(オンラインショップの商品説明にそう書いてありました)。私的には306じゃないの?って感じですが、155らしいです。このモデルも極小ダイビングリップのモデルで普通のシャロークランクです。動きはワイドなウォブリング系です。あまり私好み動きではありません。 私の好みかどうかといった書き方になってしまいましたが、リップがもろく製品のバラつきも多いためコストパフォーマンスを考えるとちょっと引いてしまうので、私としてはそれ以上突っ込む必要もないかな?と思います。安いところでも1600円ですが、高いショップでは2000円以上します。どちらにしても高すぎる気が... 次にスタンフォードのミディアムセダーシャッドです。これはスタンフォードの中でもタイトウィグルなアクションのフラットサイドクランクということで買ってみました。私はリザーバメインのためディープクランク系の方が使いやすいのでこのメーカの代表作ではないようですが、このモデルを買いました。見かけは非常に古臭く無骨な感じですが、緻密なルアーのようです。動きもロールをともなう動きでかなりいい感じです。名前の通りセダー製(杉)のため飛距離も出ます。値段も1000円程度ですので、このルアーは悪くないと思いますよ。気になった方は試してみてください。 次にプラ製のフラットサイドクランク、ボーマーのフラットAです。このルアーにはダイビングリップのモデルとシャローランナーと2つあります。どちらもほとんど同じアクションですが、アクション的にはシャローランナーの方が少しだけ小気味よいです。どちらもあまり期待していなかったのですが、ロールをともなう動きでなかなか良いです。ただ他のウッド製と比較するとロールが少し弱いです。それから重心が左右に動くのでラトル音もなります。 とはいえ値段も安くウッドに比べればバラつきも少なく、しかもフラットサイドというとシャロークランクが圧倒的に多い中、ダイビングリップタイプは水深2m程度を引けますので、非常にお勧めです。 なぜかボーマーとしてはこのルアーのみギルカラーがあり、それがギルには見えないのですが素敵な色です。しばらく使い込んでみる予定です。その価値は十分にあります。 次はノーネームクランクです。これは日本製ですが、吉田幸二氏プロデュースで、コフィンリップ(棺型)のシャロークランクです。バルサ製のハンドメイドで値段はそこそこ高いですが仕上げもきれいで動きもめちゃくちゃいいです。このルアーは値段相応の価値はありますね。このメーカは他に表層クランクがあるだけで2個しか商品がないようですが、シリーズ展開に期待です。 ただ一つ欠点を言うならフックです。前後のフックが干渉しないように横向きにアイがついているのはよいのですが、縦アイのときに左右対称になるようにひねりの入ったフックがついています。極普通のフックで左右対称になるのに...ガマカツではだめだったんでしょうか... 次にフラットシャッドのPT Classicです。これはシダーウッド製のリトルPTのバルサ版で、より障害物回避性能を高めたモデルのようです。アクション的にはバルサ製の方が良いと思われますが、向かい風では飛びません。最近の日本製リールなら問題なく使いこなせますが、おかっぱりには辛いルアーです。ただアクションはめちゃくちゃいいです。電子基盤素材を使った激薄リップのせいか何なのか分かりませんが、とにかくアクションが良いです。ただし2800円と高価な上、取り扱いショップも少なく入手困難です。 最後にHPFクランクです。海外経験のある並木プロが本場のフラットサイドクランクの欠点(製品のばらつきや使い勝手など)を解消すべく開発したこのルアーを今か今かと待ち焦がれていた人は私だけではないでしょう。発売後、速攻買って使ってみました。 結果から言うと普通のフラットサイドクランクでした。期待が大きすぎたため正直がっかりしちゃいました。 まず重心移動のため使いやすいですが、これは予想の範囲です。しかもこの移動する重心はホールインワンシステムと謳われていて重心が1箇所になるとのことだったので、てっきりマグネットで固定されるとばかり思っていたところごくごく普通の重心移動で重力により下に下がるだけでした。このため当然アクションによりぐらつきます。 実際使ってみても使いやすいという点を除けばアクションは完全にフラットシャッドの方が上です。 ただフラットシャッドと比べなければそれなりにアクションは良いです。小気味良くプリプリ泳いでくれるので、これはこれで十分使えます。値段と製品のばらつきを考えればフラットシャッドよりこちらを選択するのが賢いでしょう。 ただそれならさらにフラットAを選択するのが賢いと思いますが...私の中ではちょっと中途半端かもしれません。 といった感じでフラットサイドクランクをメインに使ってみましたが、フラットサイドクランクはフラットサイドから来るロール時の視覚効果が重要なポイントでしょう。そのためには重心は1箇所で浮力が強い方が絶対良いです。そういう意味でもHPFクランクには期待したのですが...
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