以前、「ダイワVSシマノ 〜 スピニングリール編」というコラムを書きましたが、あれから4年経過し、ダイワとシマノの同価格帯のスピニングリールを使いましたので、再検証してみたいと思います。
スピニングリールにおけるダイワとシマノの比較はかなり微妙です。結果から言ってしまうと以前と全く同じ結論です。理由を説明する前にスピニングリールに対する私の価値観を紹介します。それを踏まえて参考にしていただけたらと思います。 私はここ3年ほどTD-S2506Cを2台使っていました。以前のコラムにも書いていますが、私はスピニングには高性能を必要としていませんので、廉価版で十分だと思っています。そして私はライントラブルとリーリングの「軽さ」から、「性能」のシマノではなく、「機能」のダイワを選択していました。 そんな私もベイトがALLシマノになったことで「巻き心地」の重要度が変わってきていまして「性能」のシマノへスピニングも移行しようかと考えていました。 ただスピニングにおける最重要項目はやはりライントラブルの少なさですので、ステラ以外の廉価版でダイワの2500番のスプール径と同じサイズを持つリールを待っていました。しかし最新のモデルチェンジでもそのサイズが出なかったことで、業を煮やし'03ツインパワーMg2500S(以降ツインパ)の購入を決意しました(2台のTD-Sのうち1台をリプレース)。 ツインパを実際に使った私はその巻き心地のよさや剛性の高さキャストのスムーズさなど、機械的な性能に魅了され、TD-S2506Cが使えなくなってしまいました。 そこでもう1台ということになるのですが、ツインパと格下のTD-Sを比較しても意味がないということと、TD-Sは3年使っていますので経年劣化も当然あります。 このためダイワの同価格帯も使ってみたくなりました。しかも丁度良いことにマグネシウムから卒業したセルテートという質感重視のリールがツインパと同価格帯で出ましたので、セルテート2500(以降セルテート)を買いました。 といった感じで私はツインパとセルテートという両メーカの最新の廉価版を使ってみましたので比較します。 まず「巻き心地」ですが、ダイワもだいぶ良くなってきました。ただシマノもさらに良くなっています。やっぱりダイワはシマノにはかないません。明らかにシマノの方が巻き心地がよいです。ダイワとシマノでは剛性感が違います。シマノは精密な感じがハンドルから伝わってきますが、ダイワはノイズこそ抑えてありますが精密な感じがしません。さすがは「世界のシマノ」です。 ただシマノのリーリングはやはり重いです。非常に高級感があり、一度動き出せば滑らかですので、巻物には向きます。ダイワのリーリングは逆に動き出しが軽く、停止すればすぐ止まり、ジャークベイトなど「巻く」「止める」の連続動作に向きます。ライトリグにもこちらがよいでしょう。バス向けにはダイワの方が向いていると私は思います。 次にライントラブルについてですが、スプール径でラインのヨレ具合が違い、巻き密度やスプールの巻きテーパーでトラブルに発展するのをどれだけ抑えるかといったことがキーになります。巻きテーパーはどちらも調整可能ですので取りあえずおいておきます。スプール径については言うに及ばずでシマノは明らかに劣っています。劣っているというより小さめのセッティングです。スプール径は大きいほどラインがヨレにくいので仕方がないことですが、これは物理的に絶対的な要素です。 巻き密度もシマノは密巻きに設定されています。キャスト時のスムーズさは上です。ダイワは逆にクロス巻きに設定されています。下に巻かれた糸がバラバラ出てこないようにクロスで巻いて上から押さえていますので、ライントラブルの少なさに貢献しています。 ということでシマノは飛距離とキャストフィール重視の設定です。ダイワはライントラブルを考慮した設定です。個人的な好みだと思いますが、私はライントラブルを最重要項目に考えていますので、この点はダイワの方が圧倒的に魅力的です。シマノは圧倒的にアドバンテージのある機械的な「性能」をより際立たせるセッティングといえると思います。 また余談ですがスプールにラインが巻かれるテーパーも逆テーパーにすればトラブルの発生を抑えることができますが、キャスト時に抵抗になりますので飛距離が落ちます。どちらのメーカも調整用ワッシャーが付属していますので調整可能です。巻く糸の太さによって調整するワッシャーの数も異なりますが、シマノは通常の平巻きテーパ推奨でダイワは逆テーパ推奨となっています。 (この点でも求めるものの違いがわかりますが) ということで結果的には以前のコラムと全く同じになります。セルテート程度の剛性&質感があれば、私には必要十分かなと思います。ライントラブル少なさを犠牲にしてまであえてシマノの「性能」を求めるほどセルテートは悪くないといったところです。ただ少しフォローしますとシマノもライントラブル自体はそんなに起こりません。丸2日の釣行毎にラインを巻き変えていますのでライントラブル自体はシマノであってもほとんど発生しませんが、ラインのヨレ具合が異なってきます。スプール径が小さいと巻き癖も小さくつくためヨレっぽく見えやすいというのもあるかと思います。ただダイワの方が間違いなくヨレずに使うことができます。 これ以降は私のスピニング選びの本質ではありませんが、その他の項目についてツインパとセルテートで比較してみたいと思います。 「スプール」についてはツインパはマシンカットスプールです。非常に剛性が高いです。セルテートも悪くはありません。見た目はマシンカットっぽいですが、カタログにそう書いてありません。ただツインパのスプールにはラインクリップがありません。これは使ってみると私にとってかなり致命的な欠陥だということが分かりました。はっきりいってめちゃくちゃ不便です。マシンカットスプールではクリップを付けるのは難しいのかもしれませんが、これはないといけません。 セルテートには不細工ですがちゃんとついています。 常時ロッドにセットしっぱなしで、ラインもガイドに通しっぱなしの人はいらないと思いますが、必要な人の方が多いと思われます。不細工でも付けるべきです。 次に「ベール」についてはツインパはクリック音付きで非常に高級感があります。しかも細いワイヤーにもかかわらず、非常に高剛性です。それに対してセルテートは太いワイヤーで剛性感を出しているようですが、可動に安っぽさがあります。この辺は個人的な感覚になってしまうかもしれません。 次に「重量」はツインパがマグネシウムということもあり、40gほど軽いです。同じ番手とはいえスプール径など物理的なサイズが違いますので単純には比較できませんが、セルテートは3年前のTD-S2506Cと同じ重さですので、質感のために重量は犠牲にしていると考えられます。ツインパはMgとしては質感も悪くなく、「海使用可能」とのことですので、軽量化のために犠牲になっている部分は少ないと思います(個人的にはツインパの色が好きではありませんが)。 次にハンドルですが、どちらも折りたたみハンドルです。シマノの方が剛性感がある上に折りたたみもしやすいです。ダイワは剛性感を出すためか分かりませんが、折りたたみにかなり力を要します。このため無理な力をかけてしまい、将来的にガタが出やすくなりそうな感じがします。正直なところ折りたたみたくないです。 それからダイワも深溝スプールとなってきましたのでセルテートは2000番でもよいのではとの意見もあると思います。確かに2000番でも必要十分かもしれませんが、「2000番のスプール径だったらシマノの2500番を買う」というのも正解の一つかと思います。私はダイワの2000番を使ったことがないのでなんともいえませんが、私的にはライントラブルの少ない2500番のスプール径が魅力で機械的な性能を我慢しているわけでスプール径というアドバンテージがないのであればシマノを買うという結論になるかもしれません。 ただダイワ2000番VSシマノ2500番でもライントラブルはダイワの方が少ないような雰囲気を感じます。この辺、ダイワの同機種の2000番、2500番を両方お持ちの方にご意見を聞きたいところではあります。
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